開業費は、開業準備前に事業が軌道にのっていない状況で費用計上しますと、収益とバランスがとれないので、開業年度以降の年度の収益に影響するように、一旦会計上、資産(繰延資産)計上とし、その後償却という形をとって費用化するという考え方があります。
開業費償却の方法は、税務上、法人・個人(原則60ケ月均等償却)ともに年の所得の状況によって費用化できる(任意償却)を選択できます。
開業費となるもの
税法上定められている開業費の範囲は、会計上の範囲より適用範囲が狭くなっており、開業準備にかかった費用のうち特別に支出する費用に限定されています。
【特別に支出した経費の具体例】
- 印鑑や名刺の作成費用
- チラシなどの広告宣伝費
- 会社案内・業務案内やパンフレットなどの作成費
- 免許業種における許認可取得費用
- 交際費・接待費(打合せのための食事代など)
- 旅費交通費
- 調査費
そのため、地代家賃や通信費といった経常的な費用は、開業前のものであっても開業費に計上することはできません。
開業費とならないもの
開業までの間に支出した事業関連経費は基本的に「開業費」として取り扱うことが多いです。
開業費にならないものとしては、敷金等や10万円以上するPCや車両等の固定資産として取り扱われるものや仕入れとして売上原価を構成する商品等や経常的に発生する経費は、開業費という取扱いはしません。
開業費として認められるのはいつまでに支払ったものかについて明文規定が存在しないので、開業のために支出した費用は何年前のものでも開業費にすることができるように解釈もできますけれども、通常、遡っても数年程度と考えられ、その根拠となる費用の証拠を残す必要があります。
なお、事業を開始した日が開業日になるわけですが、形式的には「開業届」に記載した日が開業日という取り扱いです。
【 経常的な経費の具体例】
- 土地建物などの賃借料
- 通信費
- 事務用消耗品費
- 支払利子
- 使用人の給料
- 電気・ガス・水道代
- 保険料