契約書をチェックする際の税務調査官の視点は、次のようなものです。

手書き・パソコン・市販のどれか・・・最近は、契約書はほとんどパソコンで作成することが多いでしょう。パソコンの場合、同じタイトルのファイルが複数ないか、ゴミ箱に疑わしいファイルがないかなどを確認されます。保存日も確認されます。保存日が税務調査の直前であれば、上書きして代えている可能性があると見られることがあります。

・金額 → 契約書に記された金額が、会計上の金額と合っているかどうかを見られます。

・筆跡 → 取引相手からもらったはずの契約書の筆跡が、自社の経理担当者のものではないかなど仮そうされていないかどうかを見られます。

・契約内容 → 給与なのか、外注なのか、売上の割戻しなのか、仕入れの割戻しなのかなどです。

・印鑑 → 誰が押したものなのか。たとえば、取引相手の名前のところに、自社が持っている印鑑が押されている場合には、仮そうしている可能性があると判断されます。

・作成者 → 契約書を作成したのは誰なのかです。

・日付 → 直近の日付であれば、仮そうを疑われる可能性があります。

・紙の状態 → 契約書に書かれた日付と紙の状態は見合っているか、などです。たとえば5年前の契約書なのに、紙が非常にきれいな状態で保存されていると、「後から作成したのではないか」と見られます。

・印紙の貼りモレ → 契約書にはきちんと印紙が貼られているか。

・住所 → 後から作成した場合、当時の住所と整合性が合っていない場合もありますので、チェックされます。

売上にかかわる契約書は「取引基本契約書」「売買契約書」「請負契約書」などで収益の計上時期が問題になります。収益は、原則、商品・サービスの提供が終わったとき、もしくは資産の引渡しをしたときです。特にBtoBで仕事をしていて、1個あたりの金額が大きい場合は、収益の計上基準を厳しく見られます。同様に、不動産や機械など、金額が大きい 資産についても注意が必要です。