経営改善のポイント

新業態店を開発する

顧客層はサラリーマン・OL からファミリーにまで広がり,低価格でありながら,家庭の食卓に代替できる機能を求めている。

したがって,仲間内で気兼ねなく話しができ,気軽に長時間利用できる雰囲気の演出と料理にポイントをおき,少し気取った新業態店の開発が期待される。

既存店の活性化

外食産業全体が低迷しており,今のままでは大きな発展は期待薄となっいる。

したがって店舗については負担の多い全面改装は避けたい。

定期的部分改装にとどめ,シーズン料理とドリンクのアイテム数を増やした新展開で他店との差別化を図る。

さらに必要なことは従業員教育で,顧客に「行ってよかった」という印象を持たれるような店舗つくりが最重要課題となる。

インターネットの活用

近年ではパーティーや打合せ等で外食する場合に,インターネットを利用するケースが一般的となっている。

ホームページを開設することで自店のコンセプト,料理内容,価格,店舗状況等の必要な情報を提供することができない店舗は,営業機会を失うことは必至である。

集中仕込みセンターは可能な限り分散化

大手チェーンの食材供給は,集中仕込みセンターで行うという調理システムを採用している。

冷凍食品や加工食品を極力使わず調理の一歩手前まで集中仕込みセンターで行うのであるが, 万が一,センターが食中毒や火災等により稼動不能の状態となった場合には,店舗への食材供給に支障をきたす恐れがある。

したがって, 集中仕込みセンターは可能な限り拠点の分散化を計ることが必要となる。

営業・従業員管理を徹底する

大手企業の店舗戦略を見ると,対前年度で売上高を上昇させた企業は直営店中心策を採用している。

本社の戦略や指導を徹底し,FC中心の営業システムであっても営業・従業員管理を十分に行い, 経営戦略を末端まで行き届かせることが重要である。

税務のポイント

現金管理

居酒屋は典型的な現金取引業なので,POSレジ等を含め日々の現金有高はいつでも説明がつくように管理する必要がある。

預金口座の通過

売上高を含めた資金の流れが把握できるようすべての取引は預金口座を通過するようなシステムを確立する必要がある。

特に売上高については, 売上専用の預金口座を開設して日々の売上高を毎日入金する等の習慣を確立しておく。

売上高の集計

現金売上げがほとんどなのでPOSレジ集計額と売上計上額を照合し,売上計上漏れがないか確認する。

また,特定の得意先に掛売上げがあるときは,売上高計上基準の確認と未回収部分の取扱いにも注意する。

なお, 割引券・クーポン券等については,その回収状況を整備し,売上高との対応が明確になるよう管理台帳を作成する必要がある。

食材等の使用量集計

食材及び飲料の使用量と売上計上額が理論上対応しているかどうか確認する必要がある。

そのため,納品書,請求書等の原始証想は整備しておき,特に現金仕入れについては税務調査をスムーズに進めるためにもできる限り預金口座を通過させて支払うようにする。

廃棄量と自家消費量の集計

酒類,主原料及び調味料等の補助材料は,残量を明確にし,必ず実地棚卸しを行う。

また, 廃棄された食材等の廃棄量及び個人的に使用した酒類・食材等についても,税務調査時に説明がつくように普段から集計表を作成して対応しておく必要がある。

広告宣伝用冷蔵庫等の受贈益

居酒屋が酒類メーカーの広告宣伝用の冷蔵庫等を無償又は低額譲受けで取得した場合,その取得価額又は時価と負担金の差額の経済的利益の額は,メーカー取得価額の3分の2の金額から負担金を控除した金額とし,その金額が30万円以下であるときは, 経済的利益の額はないものとなる(法基通4-2-1)。

また, その資産の取得のための金銭交付を受けた場合も同様となる。

厨房機器等の少額減価償却資産の判定

耐用年数「省令別表第二の1358 料理店業用設備」に含まれる電気機器, ガス機器等はl台又は1個ごとにそれぞれが機能する単位で, 少額減価償却資産又は一括償却資産の判定をする。

人件費

架空の人件費計上がないか,出勤簿や給料受領印簿その他の台帳を整備する必要がある。特に, パートタイマーの「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出等,源泉所得税上の取扱いが適正かどうか注意する。

また, 従業員に対する食事支給の課税の問題がないかどうかにも留意する。

メーカー専属契約料の受取り

開業時等において, 酒類メーカーから専属契約料を一括で受け取る場合があるが, それを設備等の取得費用に充てたとしても,その金額全額は受け取った事業年度の益金に計上しなければならない