業界の事情
業態を越えた企業間競争が行われており,個人経営店の淘汰と回転寿司店間のシェア争いが激化している。
市場規模は1.3兆億円程と縮小傾向にあるが,個々の企業では好不調が分かれていて,顧客単価増ができたか否かがポイントとなる。
世界的な魚食ブ-ムと資源管理強化の影響から,魚介類の取引価格が上昇を続けている。
材料原価の高騰はコスト管理と規模の拡大による効率化で吸収するしかないために,業界の編成が進んでいる。
経営改善のポイント
水産物の情報収集
水産物価格の上昇は今後も予測される。
原価の低減のためにスタッフを充実して世界的な情報収集を強化し,品質の高い安全な食材の仕入れを図る。
また,国内の特産品についての商品導入も随時行う。
店舗納品時における冷凍食材のチルド化を推進し,食材の鮮度と旨みを保持したままの商品提供を可能とする。
顧客単価のアップ
顧客単価が低下している要因には,人材不足からくる店内サービスの低下による現場力不足からくる店内サ-ビスの低下による現場力の弱体化がある。
従業員力のアップを図るためOJTによる社員教育とキッチンオペレーションの標準化を実施する。
商品力のアップ
二ケ月に一度の定番商品の組替えをすることで飽きの来ないメニュ-提供を行い,さらに季節限定オリジナル商品のシリ-ズ化を進める。
テイクアウトセット商品はブラッシュアップを行い,合わせてアイテム数を増やすことで新規購入者の増加を図る。
商品名は原産国や原材料名を明記して,類似商品との誤解をなくす。
店輔展開
FC店では大型店の出店を抑制し、小規模商圏中心の中型店の出店を行う。
出店方針はドミナントエリアの構築,投資効果,社内体制等を総合的に勘案することに加え,スクラップ・アンド・ビルド及び既存店の改装や業態転換等,各種の方策を総合的に検討しながら進める。
顧客満足度を高めるため,携帯電話による店舗の混雑状況提供や順番予約のできる「携帯予約システム」及び注文システム「タッチ注文」を導入する。
さらに,常時ホ-ムページをリニューアルして,推奨リストと全定番商品及びサイドメニューの原材料・原産地情報,イベントごとの季節感あふれる句のネタを掲載して企業の最新情報を提供する。
廃棄率を最小にするために皿にQRコードをつけて,時間管理を可能にする。
税務処理のポイント
消費税
消費税簡易課税の事業区分は第四種事業となる。
寿司店が出前を受けた場合の事業区分は,「テイクアウト」とは異なり店舗での飲食の延長と考えられるため,やはり,事業区分は第四種事業となる。
また,飲食のための設備を設けず,宅配専門で販売を行っている場合には,製造小売業に該当するため,第三種事業に該当する。
個人事業主の自家消費計上
個人事業者が商品を自家消費した場合,通常販売価格により収入に計上しなければならないが,当該商品の取得価額以上の金額をもって帳簿に所定の記載を行い,事業所得の収入金額に計上しているときには, 通常販売価格に比べ著しく低額(おおむね70%未満)でない限り,認められる(所基通39- 2 )。
ところで,飲食店の場合,所得税実務問答集によると「原材料としている米,副食材料,酒類等はその世帯の食生活にも直接つながるものであり,もともと世帯が購入すべきものを,事業用仕入れと混合経理しているにすぎないとみることができますので,・・・自家消費分の仕入れは,事業主勘定へ振り替えて,売上原価から控除し,売上高への計上をしない経理方法をとるほうが正しいとある。
しかし,例えば家族の慶弔を店舗内で行い従業員に手伝わせるような場合には,自家消費の経理が必要となる。
減価償却資産の耐用年数
飲食店における厨房設備については,通常別表第二「 358 ホテル 旅館又は料理店業用設備及び給食用設備」を適用するケースが多いが,国税庁発表の「 設備の種類と日本標準産業分類の細分類番号との対比表」によるとその対象となる業種は,一般食堂,料亭,ホテル等であり,寿司店はその対象となっていない。
そのため,寿司店が寿司ロボットを導入した場合の耐用年数の判定は,その設備の規模等から勘案して「 器具及び備品」「家具,電気機器,ガス機器及び家庭用品のうち電気冷蔵庫,電気洗濯機その他これに類する電気又はガス機器」(耐用年数6 年)が適当と思われる。
ベルトコンベアに関してはその構造,規模より機械装置として処理するのが適当と思われる。適用される設備の種類に関しては,寿司店に関しては上述のとおり「358 ホテル, 旅館又は料理店業用設備及び給食用設備」には該当しないため, 「369 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他のもの 8 年」を適用する。
カウンタ-と椅子も一利用単位として捉えられるため,一式として処理をする。